うつとは
『気持ちが晴れない』とか『気分が滅入る』などということは皆さんも経験したことがあるでしょう。例えば、小学校時代の夏休み最終日。1カ月半もあった夏休みも明日で終わり。「ああいやだな」「明日行きたくないな」と思ったことはありませんか。
大人になった今でも月曜日の朝は気分が乗らないものです。そういう気持ちは、次の日学校に行ったり、仕事に行ったりしている間に消えてしまいます。こういったことは全ての人が経験していると思います。しかし『うつ』の場合は、気持ちが晴れない、気分が滅入るという状態が途切れる間もなくずっと続くことになります。

年々増え続けるうつ病患者の実態
うつ病は全世界で見ると欧米、特に女性や若者を中心に広がっています。日本国内といえば逆に中高年層に多く見受けられ、1996年に20万7000人だったうつ病患者は、2008年に70万4000人と大幅に増加(厚生労働省のデータより)。
この数字はあくまでも通院をしている人の数なので、3倍以上は、まだまだ見えないところで苦しんでいる人たちがいるということになります。日本政府としても、2011年、従来の4大疾病である、がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病のほかに精神疾患という疾病を加え、5大疾病とする方針を決めました。
うつ病のメカニズム
では次に、なぜうつ病は発症してしまうのか…そしてうつ病の原因とは…。
実はいまだに明確な答えが出ていないのが現状です。けれども現在まで分かっていることは、うつ病は何か1つの原因で発症するのではなく、複数の要因が複雑に絡み合うことによって起こる症状だということのみです。
その要因とは大きく分けて次の3つが挙げられます。
(1)遺伝子的要因…うつ病を発症させる遺伝子があるわけではありませんが、親や身内などにうつ病が多い場合、1.5~3倍ほど発症率が高くなります。
(2)環境的要因(ストレス的要因)…職場や学校などでの人間関係からストレスが溜まり、うつ病が発症するのは全て環境的要因です。環境はたやすく変えることができないのでストレスが積み重なり、重症になるケースもあります。
(3)性格的要因(身体的要因)…うつ病になる人の性格傾向として、『真面目』、『誠実』、『神経質』、『完璧主義者』などがあります。同じ仕事をやっていても『楽しい』と思う人と『ツライ』と思う人がいるように、これにはその人の『性格』や『気質』が深く関わっていると考えられます。
性格的要因の詳細はこちら
ストレス学説を解いたハンス・セリエ
病気や精神疾患は、すべてストレスが原因だと言われています。しかし、ストレス=悪者、では決してありません。『ストレス学説』を提唱しているハンス・セリエは、ストレスについて、このように述べています。
■人間活動のエネルギー源
■ストレスが存在していなかったら、人間は滅んでいただろう
■ストレスは人生のスパイスだ
ストレスの概念は次の通りです。
①心や体に受けた刺激によって起こる精神的な緊張
②外圧に対して体が懸命に持ちこたえようとする防衛反応
例えば、オリンピック選手が日々辛く苦しい練習を積み重ね(ストレス)メダルを取ることや、忙しく重責のある仕事(ストレス)をこなし、お給料が上がるなど、ストレスを踏み台にしてそこを乗り越えることで人間として成長し、またワンステップ上を目指せる自分になれる。
このようにストレスは人間が成長するにあたって必要不可欠なものなのです。ストレスとうまく向き合うことができ、ストレス解消法が分かれば、ストレスは決して怖いものではありません。自分の好きなことや趣味、旅行などで気分転換したり、あえてストレスに立ち向かうという、自分自身を励ましながら頑張る生き方もあります。
ストレスがうつ病の始まり
うつ病の原因はストレスです。人間は生きている間、多くの節目を経験します。良いことも悪いことも、辛いことも嬉しいことも、悲しいことも。これは生きている限り、避けて通れないことです。では具体的にどのような『ストレス』があるのか、ストレスの高い順に紹介していきましょう。
①大切な人・ペットの死
②人間関係
③倒産・失業
④離婚
⑤夫婦の別居
⑥仕事上のミス
⑦単身赴任
⑧労働条件の変化
上位にある『大切な人やペットの死』は、すべての人が必ず経験するストレスです。生前、仲よくしていたらしていたほど、血縁が濃ければ濃いほど、可愛がっていればいたほど、そのストレスが重圧になり、心身に多大なる影響を及ぼしてしまいます。